【くろうるしぬりおけがわむなとりにまいどうぐそく】
【作者未詳】
【江戸時代後期～幕末】
日比谷家に伝わる甲冑のひとつである。
胴は鉄黒漆塗（てつくろうるしぬり）の二枚胴（にまいどう）で、紫糸と縹糸（はなだいと）で胸取（むなとり）となっている。。
草摺（くさずり）は六間五段下がりを縹糸素懸威（すがけおどし）、袖も同仕立てであるが、三具は鉄錆地（てつさびじ）仕上げとなっています。
兜も鉄錆地で、三十間筋兜鉢に五段の日根野𩊱（しころ）がつけられています。
また現代にも伝わる印伝の生地が用いられている。
面皰のひげは失われている。
江戸時代後期～幕末に制作された甲冑のようで、類似品が八王子千人同心の子孫の家に伝わっているそうです。
※印伝「印傳」というのは鹿革に漆模様などで装飾をする技法のことを指す。
鹿革自体はその軽さや耐久性の良さ、加工のしやすさから古くは弥生時代から武具などに使われて おり、奈良県に現在の鞣し工場のようなものがあったとされている。
江戸時代に入りその鹿革に漆を施す技法が甲州で生まれ、その後江戸の粋な町人らが印伝の巾着などを使うようになり発展していった。
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